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一人親方の電気工事士が現場で使える請負契約書の書き方と、そのままコピーして使える無料テンプレートを紹介します。トラブルを未然に防ぐために必要な記載事項を具体的に解説します。
一人親方の電気工事士に請負契約書が必要な理由
「口約束でずっとやってきた」という電気工事士は多いです。でも、それは危険です。
口頭契約でよくある3つのトラブルを見てみましょう。
- 追加工事の代金を払ってもらえない
- 工事完了後に「やり直せ」と言われる
- 支払いを60日以上待たされる
契約書があれば、これらを防げます。
2026年現在、建設業法では一定金額以上の工事に書面契約を義務付けています。具体的には工事金額500万円未満でも、書面契約は法的保護を受けるために必須です。
電気工事の一人親方は特に注意が必要です。元請けから「うちの様式でいい」と言われても、自分の契約書を用意しておくべきです。
請負契約書に必ず入れる8つの記載事項
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建設業法第19条で定められた必須記載事項があります。漏れると法律違反になる項目もあります。
1. 工事の内容(工事範囲の明確化)
「電気工事一式」では絶対にNGです。
以下のように具体的に記載します。
【記載例】
・分電盤交換工事(100A→200A切り替え)
・コンセント増設工事(1階リビング 3箇所)
・LED照明器具取付工事(20台)
工事範囲を数字と場所で記載すると、後の「言った言わない」がなくなります。
2. 請負代金の金額と支払い方法
金額は税込・税抜を明記します。
支払いは以下を具体的に書きます。
- 前払い金:工事代金の30%(着工前)
- 中間払い:工事代金の40%(工事完了時)
- 残金:工事代金の30%(引渡し後14日以内)
支払い期日を「〇日以内」と日数で書くのがポイントです。
3. 工事の着工日・完成日
「〇月〇日着工、〇月〇日完成予定」と明記します。
天候・資材遅延による工期延長の条件も書いておきましょう。例えば「天候不良により着工不能な場合、発注者・請負者協議の上、工期を延長できる」という一文を入れます。
4. 追加工事・変更工事の取り扱い
電気工事では追加工事が頻繁に発生します。
この項目を入れておかないと、追加工事代金が回収できないケースがあります。
【記載例】
追加・変更工事が生じた場合は、書面にて双方合意の上、別途請負契約を締結する。口頭による追加指示は、書面確認後に有効とする。
5. 瑕疵担保責任の期間
電気工事の瑕疵担保期間の目安は次のとおりです。
- 一般工事:引渡しから1年間
- 住宅の電気設備:引渡しから2年間
無制限になると一人親方にはリスクが大きすぎます。期間を明記しましょう。
6. 工事中の損害賠償責任
工事中の事故・損害が誰の責任かを書きます。
一人親方は労災保険(特別加入)と賠償責任保険の両方に加入しておく必要があります。保険証券番号を契約書に記載すると信頼感が増します。
7. 契約解除の条件
発注者側からの解除・請負者側からの解除、それぞれの条件を書きます。
例えば「支払いが30日以上滞った場合、請負者は工事を中止できる」という条文を入れると、未払いリスクを減らせます。
8. 紛争解決の方法(管轄裁判所)
万が一裁判になった場合の管轄裁判所を決めます。
「〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と記載します。自分が活動するエリアの裁判所を指定しましょう。
電気工事士向け請負契約書の無料テンプレート(2026年版)
以下の内容をそのままWordやGoogleドキュメントに貼り付けて使えます。
電気工事請負契約書
発注者(甲):___________________
住所:___________________________
電話番号:_______________________
請負者(乙):___________________
住所:___________________________
電気工事士免状番号:______________
電話番号:_______________________
第1条(工事の内容)
乙は以下の電気工事を施工する。
工事名称:____________________
工事場所:____________________
工事内容:____________________
第2条(請負代金)
請負代金:金___________円(消費税10%込)
前払い金:金___________円(着工前)
残金:金___________円(引渡し後14日以内)
第3条(工期)
着工日:____年____月____日
完成日:____年____月____日
第4条(追加・変更工事)
追加・変更工事が発生した場合は、書面にて双方合意の上、別途契約を締結する。
第5条(瑕疵担保責任)
引渡し後____年間、乙は無償で補修する責任を負う。ただし、甲の過失による損傷は除く。
第6条(損害賠償)
乙は工事中の第三者への損害に備え、賠償責任保険に加入する。保険証券番号:___________
第7条(契約解除)
甲が支払いを30日以上怠った場合、乙は工事を中止し契約を解除できる。
第8条(管轄裁判所)
___________地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
____年____月____日
甲(発注者)署名:_______________ 印
乙(請負者)署名:_______________ 印
このテンプレートはA4用紙1枚に収まるように設計しています。現場でその場で記入できる簡易版です。
一人親方が契約書を使うときの3つの注意点
注意点1:2部作成して双方が保管する
契約書は必ず2部作成します。
1部は発注者、1部は自分が保管します。どちらかが1部しか持っていない場合、裁判では証拠が弱くなります。
PDFでメール送付したものでも証拠として使えますが、原本(手書き署名・押印あり)が最も有効です。
注意点2:収入印紙の貼付が必要な金額がある
請負契約書には収入印紙が必要です。
2026年現在の印紙税額の目安は次のとおりです。
- 100万円以下:200円
- 100万円超〜200万円以下:400円
- 200万円超〜300万円以下:1,000円
- 300万円超〜500万円以下:2,000円
- 500万円超〜1,000万円以下:10,000円
電子契約(クラウドサイン等)を使えば収入印紙は不要になります。コスト削減になるため検討する価値があります。
注意点3:電気工事士免状番号を必ず記載する
電気工事士の場合、契約書に免状番号を記載するとプロとしての信頼度が上がります。
また、電気工事業の登録をしている場合は登録番号も記載します。無登録での500万円未満の電気工事でも、登録番号の記載は信頼性に直結します。
元請けから「うちの様式を使え」と言われた場合の対応
元請けが用意した契約書にサインを求められるケースがあります。
その場合、以下の3点を必ず確認します。
- 支払いサイト(請求から何日後に振込か)
- 追加工事の扱い(口頭でよいか、書面必要か)
- 瑕疵担保期間(何年間か)
支払いサイトが60日を超える場合、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反する可能性があります。
「支払いサイトを30日以内にしてほしい」と交渉する権利が一人親方にもあります。遠慮なく交渉しましょう。
まとめ:請負契約書は一人親方の最強の武器
電気工事の一人親方にとって、請負契約書は自分を守る最強のツールです。
- 工事内容は数字と場所で具体的に書く
- 支払いは「〇日以内」と期日を明確にする
- 追加工事は必ず書面で合意する
- 瑕疵担保期間は1〜2年と明記する
- 契約書は2部作成して双方が保管する
今すぐ上記のテンプレートをWordに貼り付けて、自分の情報を入れてみてください。最初の1枚を作れば、あとはコピーして使いまわせます。
契約書を使い始めた一人親方の電気工事士からは「未払いトラブルが完全になくなった」という声が多く寄せられています。面倒に感じても、1回の未払いで数十万円の損失になることを考えれば、確実に割が合います。
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