
一人親方の電気工事士が下請け単価を上げるには、実績の見せ方と交渉タイミングの設定が9割を占める。この記事では具体的な数字と手順を解説する。
なぜ下請け単価が上がらないのか?原因を正確に把握する
単価が上がらない理由は主に3つある。
- 元請けに「替えがきく職人」と思われている
- 単価交渉のタイミングが悪い
- 自分の市場価値を数字で示せていない
2026年現在、電気工事士の需要は増えている。
それでも単価が上がらない職人は多い。
原因は需給ではなく「交渉力の差」だ。
電気工事の下請け単価の相場を確認しよう。
| 作業種別 | 低単価(交渉前) | 適正単価(2026年) |
|---|---|---|
| 内線工事(日当) | 18,000円 | 28,000〜35,000円 |
| 幹線・盤工事(日当) | 20,000円 | 32,000〜42,000円 |
| 太陽光・産業電気(日当) | 22,000円 | 38,000〜50,000円 |
この差額を取りこぼしている職人が大半だ。
交渉しないと単価は一生上がらない。
単価交渉で使える「3つの武器」を準備する
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武器①:施工実績シートを作る
口頭で「できます」と言っても信用されない。
実績は書面で示すのが基本だ。
施工実績シートに記載すべき内容は以下の通り。
- 施工年月・物件種別(マンション・工場・商業施設など)
- 施工内容(幹線引き替え・盤交換・照明工事など)
- 規模(㎡・階数・回路数など数字で表現)
- 元請け会社名(許可を得られる場合)
A4用紙1枚にまとめる。
過去3年分・20件以上あると説得力が増す。
写真を3〜5枚添付するとさらに効果的だ。
武器②:保有資格リストで希少性を示す
電気工事士免許だけでは差別化できない。
2026年現在、単価を上げやすい資格は以下だ。
- 第一種電気工事士:高圧設備を扱える。需要が高い
- 電気工事施工管理技士(2級以上):管理まで担える証明になる
- 消防設備士(甲種4類):自動火災報知設備の工事ができる
- 低圧電気取扱者(特別教育修了):産業系で必須になるケースがある
- 太陽光発電施工士:FIT案件で重宝される
資格が1つ増えるごとに交渉できる単価幅が広がる。
第一種電気工事士を持つだけで日当3,000〜5,000円の差が出ることもある。
武器③:「月間稼働可能日数」を提示する
元請けが困るのは「人が確保できない」ことだ。
稼働可能日数を明示することで信頼を得やすくなる。
例えばこう伝える。
元請けは「安定して使える職人」に高い単価を払う。
日当より月単位で考えさせると交渉しやすくなる。
交渉を成功させる「タイミングと言い方」
交渉すべきタイミングは年に2回ある
単価交渉で失敗する最大の原因はタイミングだ。
忙しい現場の最中に話すと嫌がられる。
交渉に最適なのは以下の2つのタイミングだ。
- 年度末の3月(翌期の発注が決まる前):元請けの予算が確定する前に話す
- 大型案件が終わった直後:「頑張ってくれた」という雰囲気を活かす
逆に避けるべきタイミングは以下だ。
- 繁忙期の真っ只中(5月〜7月・12月〜1月)
- 現場でトラブルが起きた直後
- 元請けの担当者が変わったばかりの時期
交渉の「言い方」を変えると成功率が上がる
「単価を上げてほしい」とストレートに言わない。
これだと相手が防御的になる。
代わりにこう言う。
ポイントは3つある。
- 「継続したい」という意思を先に示す
- 値上げの理由を客観的に説明する(材料費・保険料)
- 現状と希望の数字を両方明示する
数字を出さない交渉は相手に判断させてしまう。
必ず自分から金額を提示する。
単価を上げやすい元請けの選び方
交渉が通りやすい元請けには特徴がある。
以下に当てはまる元請けを優先的に狙う。
- 民間案件(病院・工場・データセンター)が多い会社
- 専門職(高圧・太陽光・EV充電設備)を扱う会社
- 地域に根付いた中堅規模(年商5億〜30億円)の会社
- 職人の定着率が高い会社(入れ替えコストを嫌う)
公共工事メインの元請けは単価交渉が難しい。
積算単価が固定されているため、裁量が少ない。
民間案件比率が高い元請けを狙うのが鉄則だ。
単価を上げる前にやるべき「実績の積み方」
まず「任せてもらえる仕事の幅」を広げる
単価は責任範囲に比例する。
工事の一部しか担えない職人と、全体を任せられる職人では単価が違う。
意識的に取り組むべき行動は以下だ。
- 図面を読めるようにする(見積もりにも使えるようになる)
- 工程管理の補助に入ることを申し出る
- 他職種(設備・左官・内装)との連携を経験する
- 施主との簡単な打ち合わせに同席させてもらう
これを続けると「現場を任せられる人間」になれる。
その段階になると、単価交渉は圧倒的に有利になる。
複数の元請けに顔を売って「競合」を作る
1社だけに依存していると交渉力がゼロになる。
「他に声をかけてもらっている」という状況が交渉を有利にする。
2026年現在、電気工事士の求人は活発だ。
求人サイト・職人マッチングサービスに登録して、複数の元請けとつながる。
具体的には以下のような動きが有効だ。
- 現場でのつながりを大切にして名刺を渡す
- 電気工事士向けのマッチングサービスに登録する
- 地元の電気工事組合の集まりに参加する
元請けが2〜3社になれば交渉の余地が生まれる。
「他社からのオファーがある」という事実は最強の交渉材料だ。
交渉が失敗したときの対処法
単価交渉が断られることもある。
そのときの対処法を持っておくと動じない。
「条件付き受注」に切り替える
単価を上げてもらえない場合は「条件」をつける。
単価ではなく「稼働保証」を条件にする方法だ。
安定して使いたい元請けには刺さる提案になる。
「半年後に再交渉」の約束をとる
今回断られても終わりではない。
次のチャンスを約束させることが大切だ。
半年後に実績を持って再交渉する。
この繰り返しで単価は確実に上がっていく。
まとめ:単価を上げる手順を整理する
- 施工実績シートをA4・1枚で作成する
- 保有資格を整理して希少性を可視化する
- 稼働可能日数を提示できるよう準備する
- 交渉タイミングは3月か大型案件終了直後を狙う
- 数字を出して「継続前提」で話す
- 民間案件メインの元請けを複数持つ
- 断られたら条件付き受注か半年後の再交渉に切り替える
2026年の電気工事業界は人手不足が深刻だ。
動かないと損をする状況になっている。
準備を整えて、今すぐ交渉に動こう。
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