
一人親方の電気工事士の平均年収は450万〜700万円。月収に換算すると37万〜58万円が実態だ。ただし、稼げる人と稼げない人では年収に300万円以上の差が生まれる。この記事では2026年の最新データをもとに、その差の正体を具体的に解説する。
一人親方の電気工事士|月収・年収の平均値【2026年版】
まず数字から確認しよう。
2026年時点で、一人親方として活動する電気工事士の収入帯は大きく3つに分かれる。
| 収入層 | 月収 | 年収 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 高収入層 | 70万〜100万円 | 800万〜1,200万円 | 約15% |
| 中間層 | 37万〜58万円 | 450万〜700万円 | 約60% |
| 低収入層 | 25万〜35万円 | 300万〜420万円 | 約25% |
低収入層の月収25万円は、会社員の電気工事士とほぼ変わらない。
独立したのに手取りが増えない。こうなる理由は後述する。
会社員との比較で見る独立のリアル
会社員の電気工事士(2級電気工事施工管理技士保有)の平均年収は約420万円。
一人親方の中間層(550万円)と比較すると、年収差は130万円ほどだ。
ただし一人親方は社会保険を自分で払う。国民健康保険+国民年金で年間60万〜80万円の負担がある。
実質的な手取り差は50万〜70万円程度になる計算だ。
稼げる一人親方の特徴|年収800万円超の人が実践していること
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特徴1:単価の高い工事に特化している
電気工事の単価は工種によって大きく異なる。
| 工事種別 | 日当相場 | 月収換算(20日稼働) |
|---|---|---|
| 太陽光・蓄電池設置 | 3.5万〜5万円 | 70万〜100万円 |
| 工場・プラント電気工事 | 3万〜4.5万円 | 60万〜90万円 |
| EV充電設備工事 | 3万〜4万円 | 60万〜80万円 |
| 一般住宅リフォーム | 2万〜2.8万円 | 40万〜56万円 |
| 単純内線工事(元請け下請け) | 1.5万〜2万円 | 30万〜40万円 |
太陽光・蓄電池と一般住宅リフォームでは、日当に2倍以上の差がある。
稼げる一人親方は、単価が低い工事を意図的に断っている。
特徴2:資格を武器にして単価を上げている
保有資格によって請けられる工事の幅が変わる。
下記の資格は単価アップに直結する。
- 第一種電気工事士:最大電力500kW未満の設備まで対応可。日当+3,000〜5,000円アップが相場
- 電気工事施工管理技士(2級・1級):現場代理人として入れる。月収ベースで5万〜15万円の差
- 認定電気工事従事者:自家用電気工作物の低圧工事に対応。工場案件の受注に必須
- 消防設備士(甲4類):火災報知設備工事が可能。電気工事との抱き合わせで単価1.3倍
特徴3:複数の元請けを持っている
稼げない一人親方の典型は「元請け1社依存」だ。
1社に依存すると単価交渉ができない。
元請けが3社以上あると、仕事量の調整ができる。繁忙期に高単価案件を優先できる。
年収800万円超の一人親方の多くは、元請けを4〜6社持っている。
稼げない一人親方の共通パターン|年収300万円台に沈む理由
パターン1:日当1.5万〜2万円の仕事を断れない
独立直後に多い失敗だ。
「仕事がなくなる不安」から低単価案件を受け続ける。
日当1.8万円×20日=月収36万円。
そこから経費(ガソリン・工具・保険)を引くと手取りは28万〜30万円になる。
会社員より少ない。これが現実だ。
パターン2:稼働日数が少ない
一人親方の収入は「日当×稼働日数」で決まる。
月に15日しか稼働できていない人は要注意だ。
日当3万円でも月収45万円が上限になる。
年収換算で540万円。経費引き後は450万円程度だ。
稼働日数を増やすには、元請けを複数持つことが前提になる。
パターン3:経費管理ができていない
一人親方の経費は想像以上にかかる。
| 経費項目 | 月額目安 | 年額目安 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 3万〜5万円 | 36万〜60万円 |
| 国民年金 | 約1.7万円 | 約20万円 |
| 一人親方労災保険 | 約2,500〜5,000円 | 約3万〜6万円 |
| 車両費(ガソリン等) | 2万〜4万円 | 24万〜48万円 |
| 工具・消耗品 | 1万〜2万円 | 12万〜24万円 |
| 所得税・住民税(年収500万円想定) | 約6万円 | 約70万円 |
合計すると年間180万〜230万円の支出になる。
年収500万円の一人親方の実質手取りは270万〜320万円だ。
この計算を事前にしていない人が「独立したのに稼げない」と悩む。
2026年に需要が急増している電気工事の分野
需要の高い分野を狙うのが収入アップの最短ルートだ。
EV充電設備工事
2026年現在、EV普及に伴い充電設備の設置需要が急拡大している。
マンション・商業施設・コンビニへの設置が加速中だ。
日当3万〜4万円が相場。経産省の補助金制度で発注量が増えている。
蓄電池・太陽光システム工事
電気代高騰と電力不安から、家庭用蓄電池の設置が急増。
1件の施工で15万〜30万円の売上になるケースもある。
蓄電池専門の資格(メーカー認定)を取ると、指定業者として優先的に仕事が入る。
データセンター関連工事
AI需要でデータセンターの新設が急ピッチで進んでいる。
電気工事の需要は2025〜2028年にかけてピークを迎える見通しだ。
日当4万〜6万円と高単価。ただし経験と施工管理技士の資格が必要になる。
一人親方の電気工事士が収入を上げる具体的な手順
ステップ1:現在の実質時給を計算する
まず自分の実態を正確に把握する。
「年収÷実働時間」で時給を出す。
年収500万円÷2,000時間=時給2,500円。これが現在地だ。
目標は時給3,500〜5,000円。逆算して必要な単価を設定する。
ステップ2:日当の下限を決めて守る
「最低日当2.8万円以下は断る」と決める。
最初は怖い。ただし低単価案件を断ることで空いた時間に高単価案件が入る。
これを実践した電気工事士の事例では、6ヶ月で月収が42万→65万円になっている。
ステップ3:クラウドソーシングや建設系マッチングを使う
2026年現在、電気工事士向けの仕事マッチングサービスが増えている。
代表的なサービスを確認しておこう。
- 施工管理求人サーチ:建設・電気系の高単価案件に強い
- ツクリンク:建設業に特化したマッチングプラットフォーム
- キャリアデジタル:電気・設備系フリーランス向け案件が豊富
元請けを増やす最短ルートは、こうしたサービスへの登録だ。
ステップ4:青色申告で節税する
一人親方が会社員と同等の実質手取りを得るには節税が必須だ。
青色申告(65万円控除)の活用で、年収500万円なら約10万円の節税になる。
さらに小規模企業共済への加入で、年間最大84万円の所得控除も使える。
税理士に年3万〜5万円払っても、節税効果の方が大きい。
まとめ|一人親方の電気工事士で年収700万円を目指す条件
年収700万円を超える一人親方には共通点がある。
年収700万円超の一人親方が持っている3条件
- 日当3万円以上の工種に特化している(太陽光・EV・工場)
- 元請けを4社以上持っていて、単価交渉ができる
- 第一種電気工事士 or 施工管理技士を保有している
逆に言えば、この3つを満たせば年収700万円は現実的な目標だ。
2026年の電気工事業界は人手不足が深刻。腕のある一人親方への需要は高い。
単価と案件の選択を変えるだけで、収入は大きく変わる。
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