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電気工事士が一人親方を始めるには、開業届・建設業許可・社会保険の切り替えの3つが最優先。この記事では2026年版の最新情報をもとに、手続き・税金・保険を具体的な金額と期間で解説します。
一人親方を始める前に確認すべき3つの条件
まず「始められる状態か」を確認します。
要件を満たしていないと、現場に入れない事態になります。
条件1:第二種電気工事士以上の資格を持っている
一人親方として電気工事を請け負うには、第二種電気工事士が最低限必要です。
600V以下の低圧工事ならこれで対応できます。
高圧工事も扱いたいなら第一種電気工事士が必要です。
試験情報は電気技術者試験センター(公式)で確認してください。
条件2:実務経験が最低3年以上ある
元請けから仕事を安定して受けるには、3年以上の現場経験が現実的な最低ラインです。
施工管理や見積もりを自分でこなす能力も問われます。
経験が浅いまま独立すると、ミスが命取りになります。
条件3:運転資金として最低100万円を準備できる
独立直後は入金まで30〜60日かかります。
工具・材料費・保険料を立て替える必要があるため、最低100万円は手元に必要です。
開業費用の内訳については、電気工事士が独立するために必要な資金はいくら?開業費用の内訳を解説も参考にしてください。
一人親方を始める7つの手続き【2026年版】
💡 独立開業サポート
手続きには順番があります。
以下の順で進めると、抜け漏れを防げます。
① 開業届を税務署に提出する(無料・15分で完了)
退職後1ヶ月以内に最寄りの税務署へ提出します。
書類は「個人事業の開業届出書」1枚のみ。
国税庁のe-Taxからオンライン提出も可能です。
青色申告をするなら同時に「青色申告承認申請書」も提出してください。
青色申告にすると最大65万円の控除が受けられます。
② 国民健康保険に加入する(退職翌日から14日以内)
会社の健康保険は退職と同時に失効します。
市区町村の窓口で国民健康保険に切り替えます。
保険料は前年の所得によって変わります。
年収400万円の場合、保険料は年間約40〜55万円が目安です。
③ 国民年金に切り替える
厚生年金から国民年金第1号被保険者になります。
2026年の国民年金保険料は月額16,980円です。
年間で約20万円の負担になります。
将来の老後対策はiDeCoや国民年金基金の活用が有効です。
詳しくは一人親方の電気工事士の老後と年金対策|iDeCoと国民年金基金の活用をご覧ください。
④ 一人親方労災保険に加入する(強く推奨)
一人親方は労災保険に自分で加入します。
特別加入制度を使い、労災保険組合を通じて申請します。
年間保険料は給付基礎日額1万円の場合、約18,000円です。
現場での感電・落下事故に備えるため、必ず加入してください。
病気・怪我時の備えについては一人親方の電気工事士が病気・怪我をしたときの備えと補償の種類で詳しく解説しています。
⑤ 電気工事業の登録を行う
電気工事を業として行うには電気工事業の登録が法律で義務付けられています(電気工事業法第3条)。
申請先は都道府県の窓口です。
申請手数料は22,000円(登録の場合)。
登録完了まで約2〜4週間かかります。
登録せずに工事をすると1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。
⑥ 建設業許可の取得を検討する(500万円以上の工事を請ける場合)
1件500万円以上の工事を受注するには建設業許可が必要です。
許可取得には5年以上の経営経験と500万円以上の自己資本などの要件があります。
申請手数料は知事許可で9万円、大臣許可で15万円です。
取得まで約2〜3ヶ月かかります。
詳しい手順は国土交通省 建設業一人親方問題検討会の資料も参照してください。
⑦ 銀行口座と請求書フォーマットを用意する
事業用の銀行口座を必ず別途開設します。
個人口座と混ぜると確定申告が地獄になります。
請求書には屋号・氏名・口座情報・工事内容・金額を明記します。
2026年現在、インボイス制度への対応も必須です。
課税売上が年間1,000万円を超えた時点で消費税の申告義務が生じます。
税金の基礎知識|一人親方が払う3種類の税金
所得税:青色申告で最大65万円を節税する
所得税は「収入-経費」の課税所得に対してかかります。
青色申告特別控除(最大65万円)を活用すると、課税所得を大きく減らせます。
たとえば課税所得が300万円なら税率は10%。
65万円の控除で約6.5万円の節税になります。
申告期限は毎年3月15日です。
住民税:前年所得をもとに6月から請求が来る
住民税は前年の所得に対して翌年6月から1年かけて支払います。
税率は所得の約10%です。
独立1年目は前職の給与分で住民税が来るため、資金繰りに要注意です。
個人事業税:年間収入290万円を超えたら発生する
電気工事業は第1種事業に該当します。
税率は5%です。
年間事業所得が290万円を超えた部分に課税されます。
都道府県から8月と11月に納付書が届きます。
経費として落とせる主な項目【実例付き】
節税の基本は「経費を正しく計上すること」です。
以下は電気工事士が実際に計上できる経費の例です。
| 経費の種類 | 具体例 | 目安金額 |
|---|---|---|
| 工具・材料費 | 電動ドリル・テスター・ケーブル | 年間20〜50万円 |
| 車両費 | 軽トラ・バンの燃料・車検 | 年間30〜60万円 |
| 通信費 | スマホ・インターネット代 | 月1〜2万円 |
| 保険料 | 労災・賠償責任保険 | 年間3〜8万円 |
| 研修・資格取得費 | 講習・教材費 | 年間3〜10万円 |
| 接待交際費 | 元請けとの食事代など | 年間5〜15万円 |
工具費の節約については一人親方の電気工事士が工具代を節約しながら品質を落とさない方法も参考にしてください。
実体験:独立初月に失敗した「保険の空白期間」
18年の経験から正直に話します。
私が独立したのは勤続12年目のことでした。
退職して3日後に現場に入ったのですが、その時点でまだ労災保険の手続きが終わっていなかったのです。
幸い事故はなかったものの、後から気づいて冷や汗が止まりませんでした。
電気工事の現場は、1日で命に関わる事故が起きます。
感電・高所からの転落・アーク放電。
私自身、過去に300V系統の活線作業で右手に軽度の火傷を負った経験があります。
その時は会社員だったので労災が使えましたが、一人親方になってからは自分で加入しなければ何も補償されません。
保険の手続きは独立前に完了させること。これが最優先です。
退職の2週間前には全手続きの目処をつけておくことを強く勧めます。
独立前の準備については電気工事士が一人親方として独立するための3ヶ月前チェックリストで全工程を確認できます。
仕事を安定させるための3つのアクション
アクション1:退職前に元請けを1社確保する
独立直後の仕事の8割は、前職の人脈から来ます。
辞める前に「独立したら仕事をくれますか」と直接声をかけてください。
これが最も確実な仕事確保の方法です。
アクション2:マッチングサービスに登録する
「くらしのマーケット」「ユアマイスター」などに登録すると、個人客から仕事が来ます。
最初の3ヶ月は赤字覚悟で実績とレビューを積んでください。
4ヶ月目以降から月10〜20件の問い合わせが入るケースが多いです。
仕事の探し方は独立した電気工事士が仕事を探す方法|元請け・下請け・マッチングサービス活用で詳しく解説しています。
アクション3:資格を追加して単価を上げる
第一種電気工事士・消防設備士・電気通信工事担任者などを持つと、受注できる工事の幅が広がります。
資格1つ追加するだけで、日当が5,000〜1万円上がるケースがあります。
取得すべき資格の優先順位は一人親方の電気工事士が持っておきたい資格一覧|収入を上げる追加資格をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 一人親方になるのに建設業許可は必須ですか?
A. 1件500万円未満の工事のみ請け負う場合は不要です。ただし電気工事業の登録(都道府県への申請・手数料22,000円)は法律で義務付けられているため必須です。建設業許可は将来的に大型工事を狙う場合に取得を検討してください。
Q. 一人親方の平均年収はどのくらいですか?
A. 経験・地域・案件の種類によって大きく異なりますが、独立3年目以降の一人親方電気工事士の売上は年間600〜1,200万円が一般的です。ここから経費(材料・車・保険など)を引いた手取り所得は400〜800万円程度になるケースが多いです。
Q. インボイス制度に登録すべきですか?
A. 元請けや法人から仕事をもらう場合は、登録しないと消費税分(10%)を値引きするよう求められるケースがあります。年間売上が1,000万円未満でも、取引先が法人なら登録を強く推奨します。登録は国税庁のe-Taxから無料で申請できます。
Q. 一人親方の労災保険はどこで加入できますか?
A. 一人親方労災保険は、労働保険事務組合または一人親方団体を通じて加入します。「全国電気工事業工業組合」や「一人親方労災保険組合」などが代表的な窓口です。年会費2,000〜5,000円程度で加入でき、保険料は給付基礎日額によって変わります。
Q. 確定申告は自分でできますか?会計ソフトは必要ですか?
A. 最初は「freee」や「マネーフォワードクラウド」などのクラウド会計ソフトを使うことを強く推奨します。月額1,000〜2,000円で利用でき、青色申告書類も自動作成されます。年間の収支が複雑になってきたら、税理士への依頼(月額2〜3万円)も検討してください。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験をもとに、電気工事に関する情報を発信しています。
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